USB-FPGA信号処理実験基板APB-3について
おじさん工房のAPB-3を入手しました。CQ出版社がトランジスタ技術誌で紹介・販売しています。APB-1の頃から興味がありましたが、APB-1は、大量のチップ部品の取り付けがあるので躊躇していました。今回のAPB-3からは、ほぼ完成品として購入できるので、私のようなシロートでも組み立ては可能です。なお、必要だから入手したのではなく、ただほしかっただけです。
組み立てマニュアルでは、FPGAやADCにヒートシンクの取り付けが推奨されています。秋月電子で取り扱いのあるクールスタッフという放熱シートが紹介されていますが、ネット通販では売り切れで入手できませんでした。どの程度在庫があったかはわかりませんが、この時期(2月)に放熱シートがバカ売れすることはないと思うので、ひょっとしたらAPB-3のせいで売り切れたのかもしれません。とりあえず、手持ちのTO-220パッケージ用のヒートシンクを放熱用テープで固定しました。FPGAのヒートシンクは、しっかりと固定できますが、ADCは面積が狭く、かなり危険な状況です。ヒートシンクが外れてショートするとまずいので、シリコンシーリングで補強しました。
組み立ては、マニュアルに従えば特に難しいところはありません。ただ、4項のFPGAコンフィグ以降に使用する「APB-3実行ファイルフォルダー」は、CDから動作させようとするとうまく動作しません。フォルダごとハードディスクにコピーしてそこから起動して書き込みを行うと正常に動作しました。この情報はおじさん工房の掲示板にも記載がありました。
APB-3やスペアナに関する情報は、JR1PWZさんのサイトを参考にしています。このサイトの測定例と同じ信号発生器を持っていたので、同じように測定してみました。周波数が300Hz程度ずれて表示されます。APB-3がずれているのか、HP8657Dがずれているのかわかりませんが、私の技量や使用目的からは、大きな問題はありません。
その後、別のSGから信号を入れて周波数を確認するとAPB-3の誤差は50Hz程度でした。HP8657Dの誤差が大きいようです。ただ、APB-3の信号レベルは明らかにおかしいようです。別のスペアナと比較しても+4dBm程度高く表示されます(APB-3はdB表示なのでこれでOK)。ただ、いずれもジャンクな測定器なので、正確な誤差は確定できません。
ネットワークアナライザの機能もあるので、FRMSのようにフィルタ類の特性を見ることができます。手持ちの通過帯域15KHzの455KHzセラミックフィルタとラジオでよく使うSFU455Bフィルタを測定してみました。インピーダンスマッチングがいい加減なので正確な特性ではありませんが、それらしい結果が得られました。
水晶発振子の特性も測定できます。水晶発振子の入出力を3dBのパッドで整合させて測定すれば、直列共振周波数と並列共振周波数がわかります。VXOで使用するときやXtalフィルターを作成するための参考値となります。
スペアナは、入力にアッテネータがないと不安です。GigaStで使うために作ったステップアッテネーターが使えるかどうか見てみました。3dB、6dB、10dB、20dB、30dBをトレースしてみましたが、40MHzまでと低い周波数帯なので、変動も小さくかなり正確なアッテネータとして動作することがわかりました。
リターンロスの測定に使っているブリッジの特性も見てみました。全域フラットには程遠いですが、アンテナの調整には十分です。
短波帯までの利用であれば十分な機能です。・・・というか、本格的過ぎて使いこなせない部分もあります。
※最新版のPCソフトウェアでは、ちゃんとdBm対応しており、このような作業は不要です。
レベル補正
校正済みの信号発生器のあるところにAPB-3を持ち込んで、レベルを見てみると、やはり4dB程度高めの値が測定されます。つまり、私の手持ちの信号発生器2台とスペアナ1台のレベルは概ね正しいようです。(追記:dB表示だからこれで正しいようです。表示をdBmで読むには補正が必要となります)
JR1PWZさんのサイトで、-110dBm程度までリニアリティがあるとのレポートがあるので、手っ取り早くWindows側のプログラムで補正して確認してみました。
オフセット4.8dBを入れて、概ね-110dBmまでは、ほぼ正確な測定ができることが確認できました。(最終的にオフセット4.3dBとしました。)
手抜きですが、Windows側のプログラムをいじくることでいろいろと遊べそうです。周波数の補正も可能と思われます。
スプリアス対策
APB-3を設計されたおじさん工房の掲示板に、±48KHz付近にでるスプリアス対策についてアナウンスがあります。チップ部品の取り外しがあるので躊躇していましたが、JI1ANIさんのWebサイトに詳しいレポートがあります。これを見ると見過ごすわけにはいきません。掲示板では、FB9(チップのフェライトビーズ)を90度ずらしてカプトンテープで絶縁する手順となっていましたが、JI1ANIさんはFB9を立てて取り付けたとしています。これならできそうだとやってみました。
APB-3からFB9を取り外します。片側の半田を吸い取り線でとりさってから、ピンセットでつまみながら取り外します。あとは、FB9を立てて取り付けて電源供給線を接続します。配線も短いのでFB9に無理な力がかかることもなく問題はなさそうです。
HP8657Dのスペクトラムです。左が対策前、右が対策後です。近接する細かなスプリアスが低減しています。(±100KHz付近のものは、HP8657Dの固体から出ているスプリアスです。)
10件のピンバック
RFツートーンジェネレーターの製作その2 – henteko.org
7MHz-QRP-CWトランシーバーの製作 – henteko.org
20dBカップラーの製作 – henteko.org
AD9834を使った実験用DDS-VFOの製作 – henteko.org
AVR-DDSを使ったツートーンジェネレーターの製作 – henteko.org
DDS-VFOを使った7MHz-CWトランシーバーの製作 – henteko.org
ステップアッテネーターの製作その3 | henteko.org
ステップアッテネーターの製作その2 | henteko.org
自作LCメーターでの測定について | henteko.org
RFツートーンジェネレーターの試作 | henteko.org
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