RFツートーンジェネレーターの製作その2

 作成したRFツートーンジェネレーターを使ってみるとLPFの入れ替えが面倒です(特にHF帯リニアアンプのバンド毎の出力確認)。以前、作成したシグナルジェネレーターと同じようにLPFを自動切替式にするか迷ったのですが、リレーの切り替え回路のコストがかかるのと製作が面倒なので見送りました。

 考えてみれば、送信機の出力を切り替えるのではなく、si5351aの出力0dBm程度の信号切換なので、ダイオードスイッチで十分です。2回路のLPFをダイオードで切り替える回路を作って、手持ちのRFアッテネーターダイオードやPINダイオードをテストしてみました。当然の結果ですが、RFスイッチダイオードが最もよい特性でした。手持ちの数は少ないので、秋月電子で取り扱いのある高周波スイッチダイオード 1SS277を購入しました。

 回路図です。PICは、以前作成した、シグナルジェネレーターで使ったPIC18F14K22とピンコンパチブルなPIC16F18346を使用しました。ダイオードは、挿入損失を少なくするために12Vでドライブして7mA程度流します。3.3V→12Vのレベルコンバートに、ソースドライバのトランジスタアレイTD62783APGを使用しました。LPFは、アマチュア無線のバンドに合わせて適当に割り振りました。

 基板は、PCBEで表面実装パターンを作成してCNCフライス盤で加工しました。これまでは、トレースする溝の幅を0.3mmとしていたのですが、半田付けの際に、隣のパターンとブリッジしやすいので、今回は0.45mmと広くしました。ただ、グランドの浮島がたくさんできてしまい、高周波的には良くないかもしれません。(パターンはI2CのSDA接続に間違いがあるので手直ししています)

 部品を実装して、いつもの秋月電子のプラケース(中)に入れました。

 前回作成したものと性能比較してみました。

 APB-3で測定した7MHzのツートーンで、左が今回のもの、右が前回のものです。前回と比較して、IM3が10dB悪化しています。実装方法が異なるのでこれくらいの差はあるかもしれません。また、比較的低い周波数は、RFスイッチのダイオードで歪が出ている可能性があります。

 50MHzのツートーンで左が今回のもの、右が前回のものです。IM3に大きな違いはありませんが、全体としてIMDが悪化しています。

 7MHzの高調波を見てみました。出力は差分を0Hzとしてシングルトーンです。第2高調波が見えていますが、LPFの特性からみてこの程度は仕方ありません。10kHz差のツートーンをオシロスコープで波形を見るときれいに見えます。

 50MHzと144MHzの出力です。リレーを使用したLPF切り替えでは、減衰特性の跳ね返りがあって高調波が十分に落とし切れませんでしたが、ダイオードの切り替えでは、素直な特性が得られます。VHF帯は、ツートーンジェネレーターとしては十分な特性ではありませんが、普通のシグナルジェネレーターとしてなら、なんとか使えるのではないでしょうか。

 LPFが出力周波数に応じて自動切り替えになったのは便利ですが、低い周波数でIM3が悪化したため、満足できるものではありません。ただ、アンプの直線性が確保できているかどうかの確認には問題なく使えます。


 アドバンテストのスペアナR3267で測定しなおしました。7MHzと50MHzを見てみましたがAPB-3とRigol DSA815とほぼ同じ結果でした。


 PICのプログラムです。MPLAB X5.40にCコンパイラはXC1.45を使用しています。周波数ステップ切替スイッチの長押しで周波数差分の設定モードに移行し、もう一度長押しすれば、その時の基本周波数と差分をメモリに書き込みます。周波数差分は+1MHzから-1MHzまで設定可能としています。差分を0Hzとすれば、普通の信号発生器と同じように使用できます。

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