ラジオの製作その5(4石スーパー)
準備
「ラジオの製作その4(2ICスーパーヘテロダイン)」がとりあえず動作したので調子にのって、過去、失敗しているトランジスタを使ったスーパーなラジオにリベンジとばかりに資料を集めています。
で、この本を買ってきました。
「はじめてトランジスター回路を設計する本」です。ちょくちょく拝見している子供の科学のラジオさんで紹介されているものです。初版は1977年と30年以上前です。でも、当時の著者である奥澤清吉さんの息子さんが手を入れて2002年に再販されたものだから内容的には現在でも問題ないようです。ってゆうか、トランジスタ関連の技術って30年前でも完成していたんでしょうね。
昔からトランジスタラジオは、石(トランジスタ)の数が多いほうが高性能と思っていたので、最終目標は6石か7石スーパーです。どっかのサイトに「6石スーパーがもっとも完成された形です。」みたいなことが書いてありました。でも、いきなりは難しそうなので、最初に4石スーパーラジオを作ってみます。
6石スーパーヘテロダインで必要となるコイルだけは最初に準備しておきます。6石スーパーでは、中間周波数で2段の増幅があります。ここでIFTコイルが初段、段間、終段(検波)の3個が必要となります。
2ICスーパーをブレッドボードでテストしたときに作ったOSCコイル(赤)と初段用IFTコイル(黄)のアダプタと同じように、段間用IFTコイル(白)と終段(検波)用IFTコイル(黒)のアダプタを作りました。
インターネットや書籍の回路では、電源電圧が9Vの角型電池(006P)を使用した回路が多いようです。角型電池は値段も高く電池容量も少ないので、できれば単3電池で動作させたいと思います。単3電池ならば、手持ちのニッケル水素充電電池も利用できるのでメリットは大きいです。
ブレッドボードで実験
先ほどの本をみながら単3電池2本の約3Vで動作する4石スーパーをブレッドボードで実験してみます。
最初に周波数変換部と中間周波増幅部を作ってみます。トランジスタをそれぞれ1個ずつ使用してダイオード検波したものをセラミックイヤホンで聞いてみます。
セラミックイヤホンで聞いた限りは前回の2ICスーパーで使用したLA1600よりも中波帯の上のほうでは高感度です。低い周波数帯はLA1600とほぼ同等です。ただ、微妙に発振気味です。ボディエフェクトによる感度変化もかなりあります。そもそもブレッドボードでトランジスタスクラッチのスーパーヘテロダインは無理があるのでしょうか。
つづけて、2段直結増幅回路の低周波増幅部まで作ってみました。
低周波増幅は、トランジスタ2個を使用します。そうじゃないと4石スーパーにはなりません。^^;
書籍の「はじめてトランジスター回路を・・・」参考にしながらテキトーに作りました。出力インピーダンスがあわないような気がしますが手持ちのアウトプットトランスと組み合わせてスピーカーをならしてみます。
あまり大きな音は出ませんが、一応、実用範囲の音質で聞こえます。室内で使うにはこの程度で十分かもしれません。ただ、AM中波帯の上のほうが感度が高いため1300KHz以上にある強い局の音が割れてしまいます。検波段の後ろでセラミックイヤホンで聞く限りは、正常に聞こえるので、過大入力により低周波増幅部が飽和している状態だと思われます。ボリュームを絞ればあまり気にはならないですが、もう少し調整する必要がありそうです。
最終的には、下の回路図となりました。抵抗やコンデンサの値が、手持ちのものから選んでいるのでかなり怪しいですが、とりあえず聞こえます。
OSCコイルの片側のアースが抜けています。(2008-09-13)
トランジスタは、低周波増幅の終段以外は、すべて2SC1815のGRランクです。本当は、周波数変換部には高周波用のトランジスタを使いたいのですが、適当なのが見つからなかったので仕方なく使用しています。もうちょっとhfeが小さいかFTが高い周波数まで対応できるトランジスタが良いような気がします。
検波ダイオードは、ゲルマニウムダイオードの1N60も試したのですが、ショットキーダイオードの1SS106の方が感度も音質も良かったです。なお、ダイオードの方向はどちらでもほぼ同じでした。
高周波に対応したトランジスタを調達してもう少し調整してみようと思います。
トランジスタ変更
高周波用トランジスタをいくつか購入して、周波数変換部と中間周波増幅部のトランジスタを変更してみました。バイアス抵抗を計算するのにhfeが測定したかったので、急遽、「PICを使ったトランジスターhfeメーター」でhfeの測定器を作ったりしたので余計な時間がかかりましたが、エミッタ抵抗を少し変更するだけにしました。
高周波用トランジスタをとっかえひっかえして様子を見ましたが、どのトランジスタも大きな差はありません。ただ、hfeが100程度の状態になるようにバイアスをかけて使用すれば、弱い異常発振は、完全に止まるようです。結局、廃盤品種で一番安かった2SC2786を使用することにしました。
最終的な回路図です。バイアス抵抗値などに不安がありますが、「動けば良し」ということで製作に踏み切ります。
OSCコイルの片側のアースが抜けています。(2008-09-13)
4石スーパーラジオの製作
回路図からpcbeで実装配線図を作成しました。部品数もあまり多くないので、秋月電子の小さいユニバーサル基板を使用します。
基板に実装しました。異常発振を避けるため、できるだけ外周にグランドがくるようにしてあります。ただ、コレがどの程度効果があるかは知りません。^^;
使用するバーアンテナは、型番不明のものです。2ICスーパーや今回の実験で使用しているSL-55Xよりは一回り大きなコアを使ったバーアンテナです。一応、スーパーヘテロダイン用として購入したものですが、念のため、LCメーターでインダクタンスを測定してみます。インダクタンスが約400μHと少ないのですが、当地では低い周波数に放送局がないのでとりあえずこのまま使用します。ポリバリコンも今回初めて使うものなのでアンテナ側とOSCコイル側をLCメーターで確認します。
すべてをバラックで接続して動作させて見ました。OSCコイルとポリバリコンを調整して放送局を捕らえたら、できるだけ大きな音になるように黄色と黒のIFTコイルを調整します。
トラッキング調整のやり方が良くわかりませんが、OSCコイルとポリバリコンの裏の2箇所のトリマを調整しながら、AM放送の中波帯の範囲と感度のばらつきをなくすように時間をかけてじっくりと調整します。調整の手順が悪いのか、半日もかかってしまいましたが、AM放送中波帯の上から下まで感度よく受信できるようになりました。また、異常な発振も無くほっとしました。
ケースは、100円ショップの「コレクションボックス」というディスプレイ用プラスチックケースを使用します。プラスチックなので穴あけを慎重にやらないとひびが入ります。また、空けた穴の周りのバリも多く出るので加工が面倒ですが、100円なので我慢します。
画像では確認しにくいですが、バーアンテナは、ビニール製のケーブルバンドでケースに1点で保持させています。
スピーカーは、8Ω0.3Wの57mmを使用しましたが、ケースに入れれば十分な音量です。室内でローカル局を聞く分には、ボリュームの位置も1/8程度回せば十分です。消費電流は最大で4mA程度です。単3乾電池2本でかなり長時間動作させることができます。
受信感度は、前に製作した2ICスーパーよりも1ランク上です。もっとも、バーアンテナの性能差が大きなウェイトをしめていると思われます。選択度は、感度が異なるので比較が難しいのですが、4石スーパーのほうが多少悪いかもしれません。しかし、夜間でも変な混信も無く放送を楽しむことができます。
4件のピンバック
ラジオの製作その6(6石スーパー) | henteko.org
PICを使ったトランジスターhfeメーター | henteko.org
PICを使った周波数カウンター | henteko.org
ラジオの製作その7(2Tr+1ICスーパー) | henteko.org
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