スクリュードライバーアンテナSD330について
単身赴任先で短波ラジオを聴くためにGAWANTアンテナを製作して使っていました。1.2mのホイップアンテナとタップ切り替え式のコイルを利用して5MHzから28MHzまで広範囲で同調が得られるようにしたのでなかなか便利です。ただ、バリコンの調整も必要なので屋内の手元での利用となり感度は今一つです。
ATUとカーボン釣り竿を使用するアンテナも準備しているのですが、集合住宅なのでベランダに釣竿を常設するには厳しいものがあります。また、アマチュアバンド以外で同調を得る方法はなく、短波ラジオには向いていません。
以前から第一電波工業(ダイヤモンド)社のスクリュードライバーアンテナは、コイルの長さで同調周波数を自由に設定できるので短波ラジオ受信に最適と考えていました。発売されたのはかなり前ですが、現在も手動で調整するRHM12とモータードライブのSD330がカタログにラインナップされています。SD330は販売価格が5万円近くと高価なので購入を躊躇していたのですが、ベランダに取り付けておけばリモートで同調周波数を変更できるところが魅力です。当然ながらアマチュア無線にも利用できるので、おもいきってCQオームさんから購入しました。
まあ、想像していましたがコイル部分は大きくて重いです。1.2mの標準のエレメント(3.5MHz~30MHz対応)は見慣れた感じがしました。よく見てみると7MHz用のベースローディングアンテナで使用した50MHz・144MHzモービルホイップのDP-TRY2Eとまったく同じエレメントでした。50MHzで利用できるオプションのエレメントも購入しました。
ベランダへの取り付けは、重たいコイル部分を外側に出したくなかったのでパラボラアンテナのベランダ取り付け金具を内側に向けて固定し、ナテックのST-6という金具を利用して取り付けました。垂直設置ではエレメントが上階にあたるので約60℃の角度としてあります。地上から見てみると4階ということもあり、意識すればコイル部分は見えますが、エレメントは目立ちません。
SD330は基本的にモービルアンテナになるので通常であれば自動車のボディーアースが必要です。短波ラジオのみで利用する場合は必要ありませんが、アマチュア無線で送信するためにはラジアルかカウンターポイズが必要となります。CQオームさんにはラジアルも製品としてラインナップされていますが、今回は自作するためにKIV線(0.75SQ)40mとアンテナ用端子も準備しました。
とりあえず、ラジアルを使用せずにFT-817をつないで7MHzで受信音が大きくなるようにアンテナを調整してみました。Sメーターで9+でガンガン聞こえます。CWで送信してみたところSWRは1.1程度と低い状態です。ベランダはアルミ製でサイズ的にも大型なのでこのままでアースとして使用できそうです。
NanoVNAでSWRを確認してみました。3.5MHzも7MHzもSWRはしっかりと1.1以下になります。さすがにSWRが1.5以下の範囲は3.5MHzで8KHzと狭帯域ですが、7MHzでは66KHzもあり十分です。アンテナ調整がシビアですが同調周波数を自由に調整できるのでバンド内はすべて同調を取ることが可能です。
その他、10MHzから28MHzまでWARCバンドを含むのすべてのバンドでSWR1.5以下に調整することが可能でした。ハイバンドはSWR1.5以下の帯域も広く、28MHzでは1MHz以上あります。エレメントを交換して50MHzも確認しました。SWRの最低が1.3とあまりよくありませんが、FT8の信号は強く入電するのでとりあえず使えそうです。
SWRは問題ありませんが実際の電波の飛びを確認してみる必要があります。FT-817の5Wでコンテスト参加局をCWで呼びまわってみました。7MHzは単独で呼びかければ問題なく1発でとってもらえます。ただ、3.5MHzでは、単独の呼びかけだと思いますが、1発でコールを取ってもらえず2回から5回程度コールの確認があり、相手局に迷惑をかける状態です。コンディションにもよりますが、受信自体は問題ないので少なくとも10W以上出せば問題ないと思われます。
ハイバンドは受信に関してはかなり良いようです。各バンドで海外のコンテストを聞いてみましたがCQゾーンが近隣であればSメーターで9+の局は多くありました(ただし、海外コンテスターは、ビッグパワーとビッグアンテナなので参考にはなりませんが・・・)。なお、コンテストの高速CWに恐れをなしてQSOは見送りました(笑)。
短波ラジオの受信に関してはかなりの性能です。スピーカーからの受信音が大きくなるようにアンテナを調整すればよいのでSWRは気にする必要がありません。GAWANTアンテナをベランダに出した状態よりもさらに感度が良い状態です。