TDKクランプコア(クランプフィルタ)の特性について
送信時の回り込み対策でクランプコア(通称パッチンコア)について、TDKのものが性能面で優れていると紹介しました。先日、雷災による一般電話機の故障により新品(同じ製品)に交換しました。同時にモジュラーケーブルとクランプコアをも新しいものに交換しました。クランプコアはTDK(ZCAT2035-0930A)を使用していました。交換したものもTDKの同じ製品(ただし、ロットが異なる)を使用しましたが、回り込みが発生するようになりました。電話が違うのでそのせいかなと思いつつ、ケーブルとクランプコアを古いものに戻すと回り込みがなくなります。??なんか変だな・・と思いつつクランプコアだけを入れ替えてみると、同じTDKのものでも効果が明らかに違います。
我が家で使用しているTDKのクランプコア(ZCAT2035-0930A)です。3種類(ロット違い)があります。このクランプコアは内径が9mmなので5D-2Vや5D-FBなどの同軸ケーブルの回り込み対策やノイズ対策にちょうど良いので大量に使用しています。
それぞれ ①ネット通販で購入(2020年2月) 単価266円 (10個購入)
②ハムショップで購入(2~3年ほど前) 単価300円前後(ちょっと高かった) (20個購入)
③秋葉原のラジオデパートで購入(5年ほど前) 単価忘れた (20個購入)
となっています。これ以前(8年ほど前)にも同じものを20個購入(灰色ジャケット)していますが、屋外の利用でほとんどのプラジャケットが劣化してバラバラになったので廃棄しています。
プラジャケットも異なりますが、内部のフェライトコアもそれぞれ微妙に異なります。②と③はフェライトのきめが細かく表面にツヤがあります。①は明らかにほかのものと異なる材質でフェライトの形状も微妙に異なります(円弧部分の厚みが薄い)。
以下は、TDKのサイトで公開されているデータシートの一部コピーです。これによると10~100MHzまでは、インピーダンスが最小で50Ωとなっています。グラフからは10MHzで70Ω、30MHzで100Ω以上が読み取れます。
APB-3でインピーダンスを測定してみました。データシートではΦ1mmの銅線を使用していますが、測定はAWG24の撚線を1ターンです(ほとんど差はない)。②と③は、データシートでの50Ω以上を満足しますが、①は、10MHzでのインピーダンスが41Ωと少し足りません。しかし、どれもインピーダンス特性はバラバラです。ちなみに同一ロット内での特性のバラツキはほとんど見られませんでした。
スペアナで減衰特性を見てみました。AWG28の撚線を2ターンです。インピーダンスに応じた特性が得られました。マーカーテーブルで30MHzでの減衰量を示していますが、①と②では4dB近い差があります。なお、①と③は50MHz以上で特性が近似します。
7MHzの回り込み対策で効果が無かったのは、購入が最も新しい①のクランプコアです。特性を見てみた結果、短波帯の低い周波数で明らかに性能が劣っているので納得です。①は偽物の疑いもありますが、製品単価が安いのに面倒な専用プラジャケットを作成してまで偽物を作るメリットは少ないと思われます・・・・。しかし、単なるロットの違いでここまでの差があるのでしょうか。
以上、あまり参考にならない情報ですが、店頭購入でも通販でも購入時は信頼のおけるショップで購入した方が良さそうです。