IRFZ24Nを使ったリニアアンプの試作
スイッチング用のMOSFETでHF帯のリニアアンプを作ろうといろいろと試しています。ネットの情報を参考にIOR(International Rectifire社 → infineon社)のIRFから始まる型番のMOSFETをいろいろと取り寄せてみました。高価なものは購入できないので、すべて100円前後のものです。なお、すでにディスコン(製造中止)のものも含まれています。
型番 | メーカー | Vds(V) | Id(A) | Pd(W) | Ciss(pF) | Toff(ns) | Rds(Ω) | 価格(円) |
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IRF510 | vishay | 100 | 5.6 | 43 | 180 | 15 | 0.54 | 99 |
IRF520 | vishay | 100 | 9.2 | 60 | 360 | 19 | 0.27 | 140 |
IRF520N | IOR | 100 | 9.5 | 47 | 330 | 32 | 0.20 | 88 |
IRF530 | vishay | 100 | 14 | 88 | 670 | 23 | 0.16 | 121 |
IRF530N | IOR | 100 | 17 | 70 | 920 | 35 | 0.09 | 66 |
IRF530N | VBsemi | 100 | 18 | 105 | 930 | 25 | 0.11 | 132 |
IRF610 | fairchild | 200 | 2.5 | 20 | 200 | 15 | 1.5 | 42 |
IRF610 | vishay | 200 | 3.3 | 36 | 140 | 14 | 1.5 | 66 |
IRF640N | IOR | 200 | 18 | 150 | 1160 | 23 | 0.15 | 55 |
IRFZ24N | IOR | 55 | 17 | 45 | 370 | 19 | 0.07 | 110 |
IRFZ44N | IOR | 55 | 49 | 94 | 1470 | 44 | 0.0175 | 110 |
※価格は、実際の購入価格で税込み。
IRF510のリニアアンプ試作と同じ基板を使ってすべてのMOSFETを試してみました。ただ、Cissに応じて入力トランスのターン数を変えたり、スワンピング抵抗を入れたりして調整しています。また、出力側もトランスのターン数やマッチングコンデンサを調整して試しました。
これらの中で安定したパワーが出たのがIRF530NとIRFZ24Nでした。IRF530Nは、こちらのキットで試しています。
MOSFETの取り換えで試作基板のパターンが悪くなったので、あらためて基板を作成して、IRFZ24Nを評価してみます。回路は28MHzでの利用を想定して以下のとおりとしました。
基板は、いつものようにPCBEでパターンを設計してCNCフライス盤で加工しました。
基板に部品を実装しました。NFBのパターンも設けたのですが利用しません。30MHzのLPFを入れて、28MHzで5W入力すると51Wの出力が得られます。10dBの利得です。効率は60%と悪くありませんが、Pd45Wの石なので、これでほぼ限界です。ヒートシンクが裏向きの状態では発熱も厳しく、連続1分送信するとMOSFETの表面が90℃以上まで上昇します。
同じ環境で14MHzと28MHzで入出力特性を見てみました。28MHzは、10Wを超えると緩やかに直線性が悪くなりますが、40W(46dBm)程度までは使えないことはありません。しかし、14MHzは、10Wを超えると明らかに直線性が悪くなります。
また、周波数別の出力を入力1Wと2.5Wで見てみました(LPFなしで、値はスペアナで基本波読み取り)。低い周波数帯はパワーが出ますが頭打ちが早いので、HFマルチバンドのリニアアンプとするには、入力回路を考え直す必要があります。
IRFZ24Nは、50MHzはターンオン(Ton)やターンオフ(Toff)の制限により厳しいと思われますが、HF帯なら問題なく利用できます。Pdが小さいことから、プッシュプルでの50W出力はギリギリなので放熱をしっかりと行う必要はあります。いろいろと使えそうなのでまとめ買いしました。