モジュールタイプの50MHz-QRP-AMトランシーバーの製作
免許申請済みの50MHzのQRP-AMトランシーバーで交信してみると「変調が浅い」との指摘を受けました。そうなると自然とマイクの前で大声となり、今度は「音声が歪んでいる」との指摘を受けます。前回作成した28MHz-QRP-AMトランシーバーは、マイクアンプにTA2011Sを使用したところ、同じ低電力変調でもALCの効果で歪むことなく安定した変調ができました。50MHzも同じ方式で作り直すことにします。
回路図です。28MHzを50MHzに変えただけです。FETは、2SK241よりも利得がある2SK439としました。終段増幅はRD06HVF1の手持ちがなくなったので、RD15HVF1とワンランク出力の大きなものを使います。これまではJA2NKDさんの回路をそのままとしていましたが、JH8SST/7さんのサイトを参考にフェライトコアが1個少なくなる回路に変更しました。
※si5351aからのLO出力を送信と受信で分けました。(2022-09-19)
VHF帯なので、安定動作させるため基板化します。基板は表面実装タイプとして、各ブロックをモジュール化します。ブロックごとに性能を確認しながら作成すれば失敗することもありません。
VFOは、si5351aをAVRでコントロールするもので、過去作成したものと同じように5cm角の基板にCNCフライス盤で加工しました。送信時はVFOから50MHzを出力して直接変調する方式としましたが、si5351aのクロック25MHzとの干渉で基本波の近くに細かなスプリアスが目立ちます。いずれも基本波よりも50dB以上小さなものなので対策は行いません。
各ブロックのモジュール基板もCNCフライス盤で加工しました。5cm×2.5cmのサイズです。製作は、ブロックごとに測定しながら進めます。
受信部が完成したので動作試験をしました。受信感度は-120dBmがなんとか聞こえる程度です(S/Nは取れない)。IFをもう1段増やすか、AFで1段増やした方が良いかもしれません。つづいて、送信部も作成して動作試験を行いました。
低電力変調は、ミキサーICのNJM2594を使用して50MHzを音声信号で直接変調します。下左画像は、1kHzで変調した時のNJM2594の出力スペクトラムです。歪の少ないきれいな振幅変調です。下右画像はNJM2594の出力をプリアンプの2SC1907で増幅した出力スペクトラムです。増幅で少し歪が出ますが問題ない範囲です。
終段増幅回路、アンテナ・電源切換回路、LPFの各ブロックの基板です。これも表面実装でCNCフライス盤で加工しました。
RD15HVF1の終段増幅は安定してパワーが出ます。無変調時のプリアンプの出力+13dBmを入れると5W以上の出力が得られます。信号発生器で入力レベルを変更しながら特性を見てみるとリニアな領域は最大5W弱まででした。振幅変調なので、無変調時のキャリア出力を1/4以下の1Wとしました。
ケースは、100円均一のポリプロピレンケースです。基板は両面テープで張り付けています。終段増幅部は、5cm角のヒートシンクが外に出るように固定してあります。連続送信でもたいして発熱はありませんが、これで放熱は問題ありません。
LCDとSメーターは内部に固定しましたが視認性は良好です。
高調波はLPFでしっかりと減衰しています。ただ、si5351aのクロック25MHzとの干渉で基本波の近くに細かなスプリアスがでます。下左画像は50.0MHzなのでスプリアスは基本波で見えません。下右画像は50.5MHzなので500kHz毎にスプリアスがあります。いずれもレベルは50μW以下です。電波法上は問題ないのでこのままとします。
完成したトランシーバーの出力のスペクトラムとその波形です。多少の歪が見られます。ただ、超ローカル局(家族です)と市販無線機を使って双方でダミーロードを繋いで交信してみましたがクリアに聞こえます。
AVRのプログラムは、28MHz-QRP-AMトランシーバーと共通です。周波数の設定を変更すればOKです。
以下の諸元により変更申請を実施して免許されました。これでオンエアできます。
1件のピンバック
LDMOS-FETを使ったリニアアンプの試作 | henteko.org
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