ラジオの製作その7(2Tr+1ICスーパー)

 久しぶり(およそ2年ぶり)にAMラジオを作りました。AF以外は、「ラジオの製作その5(4石スーパー)」と同じ構成です。いつもとおりブレッドボードにRFから検波までを組み立てて、セラミックイヤホンで回路動作を確認します。・・・ところが、最初はすんなりと動作しませんでした。OSCコイル(赤コイル)の接続が間違っていたようです。OSCコイルは接続が違うと全く動作しないので注意が必要です。・・・・でも、こうやってブレッドボードでスーパーヘテロダインのラジオを動作させるために、あれこれと部品を交換しながら試すのはとっても楽しい時間です。

 AF段は、インピーダンス変換のトランスが手持ちになかったのでお手軽なAFアンプICを使用します。電源は単3電池2本を予定しているので3V程度の電圧で動作するものが必要です。手持ちのICを調べてみるとNJM7073S、TDA2822といつも使っているTA7368PGの3つが見つかりました。

 ブレッドボードでAF段のICを交換しながら評価します。TA7368PGは、周辺の部品としてカップリングコンデンサを除けば、電解コンデンサ2個ですむため実装が楽なのですが、実際に試聴してみると音の大きさや音質ではNJM2073SとTDA2822が優れています。今回は、周辺部品は多少増えますがSIPのNJM2073Sを選択しました。

 消費電流は、通常の音量で9~15mA程度と非常に少なくてすみます。普通の乾電池で長時間の利用ができます。

 回路図です。バーアンテナはSL-55X、トランジスタは2SC1815、その他コンデンサ等も一般的な値のものを使用しています。初段のトランジスタのベースとエミッタのコンデンサは、0.01uFと比較的大きな値ですが問題なく動作しました。ただ、受信する場所が強電界地域だと異常発振(ブロッキング発振だったかなぁ)することがあるそうです。その場合は、容量を調整する必要があります。

 基板への実装図です。基板は、高周波回路に向いたサンハヤトのアース付きユニバーサル基板ICB-88SEGを使用しました。中波ラジオ程度ではあまり必要性はないかもしれませんが、この基板を使用するとアースの引き回しを考えなくてよいので設計が楽になります。

 部品を実装した基板です。(検波出力の取り出しが間違っています。このあと修正しています。)

 ポリバリコンやバーアンテナ、スピーカーなどを接続してバラックでテストします。この段階で、IFコイル(黄色と黒のコイル)の調整を行います。455KHzのAM信号が発生できる信号発生器等があればIFコイルの調整は簡単になりますが、なければノイズが大きくなるように調整しても実用上は問題ないと思います。

 受信周波数範囲が概ね中波のAM放送範囲に入るように調整しました。低い周波数はOSCコイル(赤コイル)で調整して高い周波数はポリバリコンの裏のトリマで調整します。ただ、この調整を行うにはIF周波数を455KHzからずれないようにする必要があるため、信号発生器や周波数カウンタ等の測定器がないと難しいでしょう。測定器がない場合は、ポリバリコンのアンテナ側トリマで最大感度になるように調整するだけで十分だと思います。

※使用した周波数カウンターは、IFの455KHzを差し引いて表示できるように製作したものなので、受信周波数が直読できます。通常の周波数カウンタでは、455KHz加算された値が表示されます。

 ケースは、100円ショップで購入した食品用ケースです。ふたがシリコン製で加工に難儀しましたが、なんとか組み込みました。ふたに厚みがあるためイヤホンジャックの取り付けは断念しました。電池ケースは最下部にしたので電池交換に基板を外す必要がありますが、電池交換の頻度が少ないので良しとしました。ポリバリコンは、10mmのメタルスペーサをφ2.6mmのネジで固定して通常のツマミが使えるようにしました。

 受信感度もいいようです。コンクリートの建物の中でも十分な感度で受信できます。ただ、受信音がひずみ気味なのが気になります。特に音楽を聴いているときに音量を上げると低音がゴロゴロとひずみます。AF段の入力にセラミックイヤホンをつないで聴いてみてもクリアな受信音でひずみは感じられません。AF段の問題のようです。あれこれ試しましたが、結果としてスピーカーを交換したらなおってしまいました。スピーカーとの相性でしょうか?

 相性の悪かったスピーカーです。ここ1年以内に通販で購入したものですが、よく見るとフォスター社のスピーカーです。フォスター社はFOSTEXのスピーカーユニットで有名なメーカーです。しかも、今では珍しい日本製。現在も国内生産しているとは思えないので、長期間在庫してあったものでしょう。