PWMによる定電流回路の制御実験
単3や単4サイズの充電式電池(ニッカドやニッケル水素)の特性と見るためにMOS FETを使った放電器を作りたいと思っています。そのための基礎実験をやってみました。
ミニッツレーサなどのスモールサイズラジコンで使うニッカドやニッケル水素電池などの充電可能な乾電池(2次電池)を1セルごとに放電させる放電器を製作して性能の良い電池を選別したいと、以前から考えていました。放電器の基本的な仕様として
*単セル単位の定電流放電
*放電停止電圧設定(0.6V~1.0Vまで0.1V単位)
*放電電流が設定可能(100mA~1000mAまで100mA単位)
*放電時間表示
*単セル単位の放電容量表示
*4セル同時に処理
が実現できればいいと考えています。
ワンチップマイコンのAVRかPICを使えば簡単に出来そうですが、放電電流を可変式として電圧(電池の電圧)によらない定電流制御を行う方法がわからなくて困っていました。
「MOS FETを使った電子負荷装置の製作」では、単純にMOS FETのゲート電圧を変化させて電流値を可変していましたが、エンハンストタイプのMOS FETの使い方としてはイレギュラーだと思います。今回のように正確な放電電流値を安定して得る用途には向かないと思います。
インターネットをあちこち検索していたら、定電流回路をPWMでON/OFFしてやれば電流値の可変と同等という記事を見つけました。つまり、1Aの定電流回路をPWMのデューティ比50%でオン・オフすれば0.5Aの放電回路と同等になると・・・・・・そうなのか?・・・
ということで、下の回路で早速実験してみました。

定電流回路は、トランジスタのベース・エミッタ電圧が、十分なベース電流を流したときにほぼ一定の値(約0.6V)となることを利用したものです。
MOS FET(2SK2232)のソースにつないだ1Ωの抵抗の両端電圧がトランジスタ(2SC1815)のVBEでクランプされます。この場合、この1Ωの抵抗に流れる電流は、オームの法則により電圧VBEを抵抗1Ωで割った値となります。
このトランジスタのVBEは実測で0.78Vとなっているので、0.78/1=0.78A・・・・780mAの定電流回路ということになります。
この定電流回路をAVRのATmega168でPWM制御します。実際に実用化するときは、1Ωの抵抗を電流検出抵抗として扱い、その両端電圧をAVRのAD変換で読み取ってPWMのduty比をフィードバック制御する必要がありますが、実験では単純にボリュウムでduty比を変化させてみます。


上の画像は負荷電流100mA時のものです。理論的には、AD値が32なのでduty比が32/255*100=12.5%となり電流値が780mA*0.125 = 97.5mAとなります。
この状態で、負荷バッテリー(実験では電源装置)からの電流(テスターで測定)がduty比に比例した値かどうかを確認したところ、かなり正確に電流値を可変できることがわかりました。つまり、理論的には電流の値を255段階(8ビット)に変化させることが出来るようです。
放電器の基本実験はうまくいきました。なんとかなりそうです。あとは、時間が取れれば続けて製作していきたいと思います。でも、今回のパルス性の負荷と抵抗負荷などの連続負荷がバッテリーに対して同等かどうかがチョット気になります。
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