si5351aを使ったシグナルジェネレーターの製作
※ここで作成したリレー切替式のLPFよりもこちらで作成したダイオードスイッチ切替式のLPFをおススメします。 2022-03-19
以前、SWRアナライザーの試作でsi5351aを使ってみましたが、出力が方形波なので高調波が大きくて高周波の測定系には使いづらいと結論しました。しかし、適切なフィルターで高調波を落としてやれば使えないことはないこともわかりました。そこで、適切なローパスフィルターを複数切り替えることで150MHzまでのシグナルジェネレーターとして使えるものを作ってみます。
回路図です。si5351aの出力周波数に応じてLPFを切り替え制御します。LPFは市販のユニバーサル基板の実装上、いっぱいいっぱいとなる6段としました。リレーは5Vが必要なのでトランジスタでドライブします。LPFのカットオフ周波数は3MHz、5MHz、10MHz、30MHz、70MHz、150MHzとしました(これについては十分な考察はありません。適当に決めています)。
LPFのインダクタをトロイダルコアを利用して作ります。LCメーターで確認しながら巻き数を調整しました。リレーは秋月電子で1個70円のリードリレーSS1A05Dを利用しました。このリレーはコンパクトでフリーホイールダイオードが内蔵されており、省スペースで利用できるので今回の用途には向いていると考えました。ただし、高周波的にOKかどうかは確認していません。HF帯なら大きな問題はないと思いますが、今回は150MHzまでなので影響はあると思います。(実は、LPF単体とリレー通過後のLPFの特性をスぺアナで測定したのですが、肝心の画像をロストしました。LPF単体なら問題ない特性ですが、リレーを介すとカットオフ周波数の2倍程度の周波数から跳ね返りが大きくなり、それ以降は-30dB程度の減衰しか得られないようになりました。これはいずれのLPFも同じような特性でした。)
制御回路も実装して周波数の変更に応じてLPFが切り替わることを確認します。リードリレーだからか接点のON/OFFの音も小さく切り替わりを意識することなく周波数を変更できます。ケースは秋月電子のプラケース(大)を利用しました。
スペアナをMAX HOLDして、1~150MHzまでの出力レベルを測定してみました。アッテネーターが10dB入れてあります。レベルの変動はありますが0~6dBmまでの出力範囲となりました。
出力1MHzの時の高調波の様子とオシロで見た波形です。LPFが3MHzとなるので2倍と3倍高調波が落とし切れていません。波形も高調波が混じって正弦波からはかけ離れたものとなっています。
出力1.9MHzの測定結果です。高調波は3MHzのLPFでしっかりと落ちています。波形もきれいな正弦波に見えます。
出力3.5MHzと7MHzの高調波の様子です。3.5MHzは5MHzのLPF、7MHzは10MHzのLPFを通過しています。高調波は十分に減衰しています。波形は省略しますがきれいな正弦波に見えました。
アマチュア無線のバンドで最も悪かったのがこの14MHzです。LPFは30MHzとなるので10MHzから14MHzまでを出力した時の高調波が目立ちます。波形もがたがたしています。これは6段のLPFの割り振りのミスと判断しています。10MHzの次を3倍の30MHzとしたのが悪かったかもしれません。LPFを10MHz-20MHz-40MHzで設計すればよかったかもしれません。
30MHzと50MHzです。LPFはともに70MHzを通過します。LPF単体での性能は問題なかったのですが、リレー切替による減衰特性の跳ね返りがあって高調波が落とし切れていません。
150MHzの高調波の様子と100MHzのオシロ画像です。100MHzまで測定できる古いオシロで見ています。150MHzでは奇数時の高調波が落とし切れていません。LPF単体はべた基板で確認しているのですが、ユニバーサル基板への実装やリレーの切り替えにより特性が大きく劣化していると思われます。波形は50MHz以上は、おおむねきれいな正弦波に見えますが、オシロスコープの性能から波形がなまっている可能性もあります。
高調波は少ないので測定系で利用できるか確認します。アマチュア無線のアンテナのリターンロスを測定してみます。アンテナは、ベランダに取り付けたHFからUHFに対応したマルチバンドホイップアンテナ(UHV-6)です。スペアナとリターンロスブリッジで7MHz帯のリターンロスを確認すると18.8dB(SWRは1.26程度)となっています。
信号源に作成したシグナルジェネレーター、レベル測定に電界強度計を使用してリターンロスを測定します。アンテナをつないで周波数を変化させ最もリターンロスが大きくなった状態で-27.3dBmとなりました。そこで測定端を解放すると-8.9dBmとなったのでリターンロスは27.3-8.9=18.4dBとなり、スペアナの測定値に近似します。また周波数も概ねあっています。
144MHz帯のリターンロスをスペアナで確認すると22.2dB(SWRは1.17程度)となっています。
アンテナをつないで周波数を変化させ最もリターンロスが大きくなった状態で-32.3dBm、解放時が-9.9dBmとなったのでリターンロスは32.3-9.9=22.4dBとなり、スペアナの測定値に周波数も含めて近似します。
リレー切替によるLPFの性能に満足はできていませんが、とりあえず測定に影響がない程度に高調波が抑えられていると判断しました。
今回グラフィックOLEDを利用したのですが、コントロールチップのSSD1306は、描画がページ単位でなおかつ読み出しができないので困りました。RAMの少ないPICではバッファが確保できないのでピクセル単位の描画が簡単にはいきません。そこで文字だけを単純に描画するプログラムを作って対応しました。文字の大きさは大中小の3種類に対応しています。参考までに載せておきます。コンパイラはXC8 Ver1.45を使用しています。
4件のピンバック
ステップアッテネーターの製作その2 – henteko.org
RFツートーンジェネレーターの製作その2 – henteko.org
SWRアナライザーの試作について – henteko.org
ステップアッテネーターの製作その2 | henteko.org
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