スペクトラムアナライザーRIGOL DSA815-TGについて

 これまで使用していたスペアナMT8801Bが今年の春頃から調子が悪くなり、安定して測定できなくなりました。(電源入れて1分程度はOKだけど、その後、スペクトルがフラフラと・・)
 APB-3やGigaStがあるので、スペアナがどうしても必要というわけではありませんが、無いと不便なときもあります。しばらく、オークションを眺めていましたが、動作しそうで、程度の良いものは、あっという間に高値になってしまい、手持ちの予算では落札できそうもありません。動作するかどうか怪しいものは、それなりの値段で落札されていますが、もし動作しなかった場合は、とても高価な粗大ごみとなります。
 安価なスペアナとして、11万円程度で入手できるSignal Hound(USB-SA44B)があります。ただ、PCベースということと、内部スプリアスなどいろいろ問題がありそうです。また、情報が少ないこともネックです。
 通常のデスクトップで使用できるスペアナとしてRIGOL社のDSA815も注目していましたが、新品で17万円ということで、やや予算オーバーと判断していました。17万円出すなら、中古でそこそこのものが買えそうです。ところが、中古を扱うショップにHPの古いスペアナ(本当に古いです。製造は1995年だそうです。18年前の製品)について聞いてみたのですが、保障は1ヶ月間で、その後の修理は有償となるとのことです。故障した場合の修理代金を聞いてみると、それはケースバイケースと、ごく当たり前の回答です。電話なので雑談しながらいろいろ聞くと、電源部などの故障は数万円以内で収まるが、その他の回路(ボード)の故障だと購入金額と同額程度が必要になる可能性もあるとのことでした。
 結局、購入の決断ができず、オークションを眺める日々を送っていましたが、東洋計測器(秋葉原の実店舗は、計測器ランド)で、秋のセールと銘打ってDSA815-TGの安売りをやっているのを見つけました。さらに10月以降は、RIGOL製品の値上げがあって、定価が20万円以上になるとの情報もありました。15万円以下(これは、9月末までのセール価格)で新品のスペアナが買えるのなら安いものです。しかもトラッキングジェネレーターも内蔵しています。また、DSA815は、国内測定器メーカーのリーダー電子が3年保障をつけているので、少なくとも3年間は安心して使用できます。(電源入れるたびに、ドキドキしなくても良い・・・この気持ち、ジャンクな測定器を使った方はわかると思います。)

 ということで、前置きが長くなりましたが、購入しました。コンパクトで机の上でも邪魔になりません。液晶表示も綺麗でファンの音も小さいです。電源の立ち上げも短時間です。
 ただ、本体が軽いので、電源スイッチのオンオフやコネクタの抜き差しなどでは、本体を押さえないと動いてしまいます。また、各種スイッチの押しごたえ?がフニャ?っとして、HPやアンリツの製品と比べると、良くありません。

Rigol DSA815-TG

 MT8801Bが元気な頃のキャプチャ画像があったので比較してみました。入力ソースは、SGから500MHz-10dBmです。スパンやRBWを同じ設定にしてありますが、やはりDSA815のCNが良くありません。MT8801Bよりも10dB以上悪く見えます。

 HP8657Dから10MHz-10dBmを入力してAPB-3と比較しました。とても残念な結果です。・・・というか、APB-3は、そのスジの方(・・・・スペアナに詳しい方のWebサイトの情報)も、認めた性能なので、当たり前かもしれません。

追記:質問があったので、この場にも記載しておきます。ご覧のとおり、このスペアナはC/Nがよくありません。したがって、信号純度の高い?信号の発振回路の特性測定には向いていません。また、想定する用途に利用できるかどうかを質問されても、残念ながら答えられません。(2013-10-17)

 実験用DDS-VFOから10MHzを入力してワイドスパンで、APB-3とGigaStと比較してみました。GigaStと比べればそんなに悪くはなさそうです。当然、操作性はDSA815が優れています。

 ブレッドボードに、いい加減に作ったクリスタルフィルターの特性を見てみました。ほぼ、APB-3と同じ特性が得られます。RBWが100Hzまでなので、心配していましたが、帯域数kHz程度のフィルターなら問題はなさそうです。APB-3は、これに加え位相なども測定できるため、さらに優れていますが、私の技術力では必要ありません。

 リターンロスブリッジを使ってアンテナのリターンロスを測定してみました。同調する周波数は、ほぼ同じです。リターンロスは、GigaStとDSA815は、ほぼ同じ値が測定できますが、APB-3は6dB以上、大きな値となります。リターンロスなので、この差は大きいといえます。残念ながらどれが正しいかは、判断できません。

 DSA815のノイズレベルは低くはありませんが、内蔵プリアンプを使用してアベレージングすれば-110dBm程度の弱い信号も十分に測定できます。

 その他、NdBダウン時帯域測定、CN測定、TOI測定などいろいろと機能がありますが、私は使用することがないので、意味はありません。また、残念ながら、この機能がどの程度使えるかの評価もできません。

 性能はいまひとつですが、PCベースよりは使いやすいと思います。特に、トラッキングジェネレーターを使用した測定や、マーカー機能での測定はPCベースよりも圧倒的に使いやすいと感じます。50MHz以下の狭帯域測定はAPB-3が使用できるので適材適所で使用すればよいでしょう。とりあえず、私の使用目的からは、DSA815で十分です。


測定画面キャプチャ

 いろいろな実験中に測定画面のキャプチャを残しておくと、あとあとの比較時に便利です。私は、製作中に測定した場合は、できるだけ画面キャプチャを残すようにしています。DSA815は、USBホストとして動作するので、フロントパネルのUSBポートにUSBメモリをつないで、キャプチャした画像ファイルをPCとの受け渡しをしていました。
 DSA815の背面にもUSBデバイスとしてのポートがあるのでPCとUSBケーブルでつないで、添付のUltra SigmaというソフトウェアをインストールするとPCからDSA815の画面キャプチャがリモート取得できるようになります。
 Ultra Sigmaは、もう少し高度な測定器制御体系で使用するようですが、このままでも画面キャプチャは問題なく動作します。

 画面キャプチャを実行すると、数秒でキャプチャ画像がデスクトップに表示されます。(同時にファイル保存も実行されます。)

 画像ファイルは、自動的にあらかじめ設定したフォルダに保存されます。ただ、同じ画像が、BMP、JPEG、PNGの3形式で保存されます。
 この機能を使うと、DSA815がリモートモードとなるので、本体のESCキーを押してローカルモードに戻す必要があります。

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